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野口悠紀雄教授の「1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済」によると現在の日本を形成する経済システムは1940年前後に形成された、総力戦遂行を目的とする「戦時総力戦体制の継続」がベースになっているという。例えば、官僚主導による中央集権体制や、間接金融や終身雇用、年功序列、企業別労働組合などの日本型企業システムなどは戦時総力戦体制を構築する中で発達してきたものである。(一般に知られているように、戦前の日本は直接金融中心の企業システムであり、雇用の流動性も高く、欧米型システムに近い)
これらのシステムが、世界史上類を見ない日本の高度経済成長に寄与したであろうことは事実だと思われるが、現在の経済環境の変化に対応できない原因となっているのも事実である。「体制維新――大阪都 (文春新書)」の中で堺屋太一さんが仰る、「人を替えても(政権交代)、仕方を変更(政策転換)しても良くならない。これを救う道はただ一つ、体制(システム)を変えること」とは、まさにこの「戦時総力戦体制」を変更する必要性に触れていると思う。(また堺屋さんは同著のなかで「太平洋戦争へと向かう1940年頃からは、大阪は急激に衰退」すると書いている。野口教授の1940年頃から現在の日本システムに連続するシステムが構築され始めた、という主張と並べると興味深い) 堺屋さんが明治維新の最も重要な部分として、「地方から先行例を創」ったことを挙げており、先日紹介したリチャード・フロリダも、活気ある都市が新しい経済と社会を生むと主張する。これらの主張から、大阪都構想を掲げる橋下徹元大阪府知事の主張は正しいと考えるのだが、今日は別の視点。 活気ある都市が魅力的な人材を引きつけるのは直感的にも理解できる。ただし次のような主張もあるだろう。 「誰もが流動的である訳ではない」 これもある面では事実だ。ある都市の魅力が落ちる(税金が上がる、犯罪率が上昇する、人口が減るなど)としても多くの人はその土地を離れて生きることは難しい。特に日本のように労働流動性が低い国では、住む場所を変えるのは高コストとなる。だから国政の仕事は、その国の魅力を上げることであり、地方政治家の仕事は都市の魅力を上げることとなる。しかしこれらが往々にして巧くいかないのも事実だ。(とはいえ、日本を魅力的な国にするのは政治家ではなく、魅力的な国(都市)を作る創造的個人にかかっているというフロリダの理論は正しいと思うし、魅力的だ。フロリダは「グレート・リセット―新しい経済と社会は大不況から生まれる」の中で、製造業やサービス業にもクリエイティブな個人は誕生しうると述べているし、また誕生しなければならないとしている) すなわち、国家に依存すること(会社も同じ)に大きなリスクが伴う時に個人として生きる戦略とは何だろうか? これもよく言われていることだが、どこにいても生きていくことができる人間になること、と定義できる。ここで言う「生きていく」とは哲学的な意味ではなく、経済的な意味である。作家の橘玲氏によれば(いや、よらなくても)、人は「収入とは、人的資本あるいは金融資本(あるいは両方)を市場に投資することで得られる対価」である。すなわちどこでも生きていくことができるというのは、①どこにいてもお金を稼ぐことができる人的資本を持っているか、②どこにいても生活できる程のリターンをもたらす金融資本をもっている必要がある。 私にとって②の選択肢は始めからあり得ない(少なくとも今は)。だとすると個人の戦略として①を採用せざるを得ないが、この人的資本とは何か?を定義することや、それをどのように高めていき、利用するのかは困難だ。酒井穣さんはブログ(これは「ゆらぎ」ではない。)の中で陳腐化するスキルよりも「きわめて誠実であること」が重要だと仰っているのが興味深いし、勝間和代さんは著書「まじめの罠 (光文社新書)」の中で南アジアやインド、アフリカのどこかで仕事することで人的資本を高めるチャンスがあると仰っていて面白い。 もはや若者ではない(橘玲氏によると収穫期)私にとって、人的資本を高める幅はかなり限定的だが、今の会社を利用しつつ(というと聞こえは悪いが、一生懸命働く、という意味)、チャンスをとらえていきたいと思う。短期的には海外で働く、中長期的には大学へ戻る(博士号を取得する)を目標にすえることとする。(ちなみにこれらは先日酒井さんと飲んだ時にもらったアドバイスがもとになっていたりする)
by EM-LYON
| 2011-11-23 14:31
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