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『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』は今年読んだ本の中で最も素晴らしい本である。誰が読んでも学ぶところは沢山あると思うが、ビジネススクールで学ぶ人たちには是非読んでほしい1冊である。
『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』は、経営書を教科書として「教科書通り」の経営を続け、成長してきた「星野リゾート」について書かれている。「教科書通り」とは、経営理論書の内容を「つまみ食いしないで100%やってみる」という意味である。私は、この「100%」というところに大きな意味があると思う。 「ベストプラクティス」を参考にし、自社の経営に取り込む、という方法は広く一般に行われている。その際に実践されることは、大きく2通りある。 ①業界内のベストプラクティス企業を分析し、適用可能な部分を自社に取り込む ②業界外のベストプラクティス企業の中から適用可能な部分を自社に取り込む ①は同業である故に取り組みやすいが、ベストプラクティス企業を超えることは難しい。一方、②は今まで業界内で取り組まれたことがない場合、差別化要因になり、業界内のポジションを一気に逆転することも可能だが、適用は時に困難を伴う(簡単だったら既に誰かがしている)。 いずれにせよ、上記の方法は「適用可能な部分」という意味と、参考にする対象が原則1社であるという部分において星野リゾートの取り組み(=戦略)とは大きく異なる。星野リゾートが実践しているのは以下の2点。 Ⅰ.参考にするのは、経営理論書 Ⅱ.参考にする文献に書かれている内容を100%実践する 経営理論書を実際の経営の参考とする理由に関して、星野リゾートの星野佳路社長は以下のように述べている。 「私が参考にする教科書の多くは、米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたものだ。彼らは「ビジネスを科学する」という思想の下、数多くの企業を対象に手間と時間をかけて事例を調査し、そこから“法則”を見つけ出し、理論として体系化している。その内容は学問的に証明され、一定条件のもとでの正しさはお墨付きなのだ」 「囲碁や将棋の世界に定石があるの遠の滋養に、教科書に書かれている理論は「経営の定石」である。何も知らないで経営するのと、定石を知って経営するのでは、おのずと正しい判断の確率に差が出る」 歌舞伎の言葉として有名な「守」「破」「離」の概念はビジネスの世界でも一般的になりつつある。特に自己啓発系の著書などでは、成功者の行動を「守」「破」「離」の概念に従って実践していくことが、成功への近道と説く。これはある意味では正しいのだが、一つ大きな落とし穴がある。 私が小学生のころやっていた剣道の世界にも「守」「破」「離」の概念があるが(「習」「守」「破」「離」ということもある。「習ったことを守る」から始める、という意味だそうだ)、私は小学生6年間、「守」である、型の習得しかやらなかった(もちろん竹刀による試合はやった。ここでいうのは「剣道」としての「型」のこと)。もし中学校に進んだ後も剣道をしていたとしたら、おそらくもっと長期間「守」だけをやり続けただろうと思う。 これは、とかく「型」(すなわち「守」)の習得が難しいことを表している。正しい「型」をマスターせずに「破」に挑むと、それは単なる自己流に陥ってしまう。本来「守」とは、気の長くなるような時間を要するものであり、「道」によっては人生の大半を費やすべきものである。自己啓発書の中には、「成功者の行動方式を真似し(すなわち「守」)、その後自分なりにアレンジすること(すなわち「破」)で成功を手に入れよう!」と書かれているものもあるが、果たしてそんな短期間に「守」をマスターできるのだろうか(※誤解なきように言っておくと、私はこれらの方式を否定しない。というか、私自身多くの人の真似をしている。いろんな本に書かれてあることを真似しながら、今日まで来ており、それらの著者に感謝している)。 星野リゾートは、経営理論書に書かれている内容を、「100%」実践している。これは、膨大な事例研究に基づき理論化された経営理論書を一つの「道」とみなし、その「道」を極めるべく「守」を実践しているということである。「守」の実践にはつまみ食いは許されない。なぜならばつまみ食いは、「型」を習得する前に「破」に入る、自己流への一里塚であるからだ。 『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』には、星野リゾート内企業の様々なケースを事例が、参考にされた経営理論書と共に紹介されている。これらのケースは、経営者などには、経営理論書を実際の経営に役に立てるための参考になるだろうし、ビジネススクールの学生達には、経営理論書が実際の経営の場で、どのように活用されているのかを知る、格好のケースとなると思う。この本の中で紹介されている書籍のうち、持っていない物を片っ端からiphoneにて購入してしまった(笑)。素晴らしい良書、お勧めです! (白浜にも来ないだろうか)
by EM-LYON
| 2010-05-15 17:30
| お勧め本
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